月夜の訪問者
ハッっとして起き上がる

違う!私、雅に結婚宣言されて
そしたら雅が刺されて
でっ

で、どうなったんだっけ?

「雅はっ!!」

「頭の回転が悪いな、第一声まで30秒」

横から嫌味な声が

「えっ」

振り向く

「どうした?幽霊でも見たみたいな顔だ
アホみたいだから辞めろ」
と、こんな酷いセリフをさらりと言う非常識な男は、そうそう居ない

「雅!腕は?大丈夫なの?」

慌てて雅の腕を見る
包帯を巻かれているようだ。

「ああ、大した事ないと言っただろ。
少し出血が多かったが一晩寝たら大分良くなった。
それを
お前、大袈裟に気絶なんてして…」
「良かったぁ!雅が死んじゃたらどうしょうかと思ったぁ」

雅の言葉に安心してホッと胸を撫で下ろす。

「調子が狂うな」

チッと舌打ちし、呟く雅

「え?」

聞き取れず聞き返す

「悪かった、お前が刺されそうになったのは俺のせいだし
お前が倒れたのも俺のせいだ」

私に謝る雅

「頭も打ったのかしら?もう一度病室行きましょう」

慌てて立ち上がる私
素直に謝るなんて、やっぱり重症なんだわ
だって素面なら有り得ない。
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