Love of space 1
「みんな、いい顔してますね。」
水谷先生が呟く。
『そうですね。』
ふと、水谷先生の顔を見ると目に涙が溜まっている。
「なんかすっごい感動してます。
初めての教え子が卒業なんて…」
涙でつまりながらも懸命に歌いきろうとしている卒業生を見た。
零も藍葉も泣いていた。
大和はいつもと変わらない顔。
それでも少し切なそうな顔をしている。
川北は満面の笑み。
ホントに楽しそうな顔をしていた。
『これからたくさん、卒業していくヤツはいます。
けど、初めては印象に残りますよね。』
と、俺が言うと水谷先生は頷いた。
そして体育館の床に涙を落とす。
「こんなんじゃ最後のホームルームでボロ泣きしちゃいますよね…」
水谷先生は乾いた笑いを漏らした。
『いいんじゃないですか?
泣いても。
その涙はみんなに伝わりますよ。』
俺はそう言って水谷先生にハンカチを渡した。
「そのハンカチは西城零のために使ってあげてください。
私は自分のを使いますから。」
水谷先生はそう言ってニヤッと笑う。
こんな状況でもそんな意地悪なことを言うんですか…??
俺、感動じゃなくてイジメられて泣きそうですよ。。