Love of space 1
『朝倉先生もどうぞ』
と、伊藤先生に言われた俺は一歩前に出た。
手に汗がわく。
『俺からも卒業おめでとう。
俺の教師として初めての授業はここの学年だった…。
緊張してガチガチだった俺の気持ちをほぐしてくれたのはお前らでした。
こんな頼りない先生を先生として見てくれて嬉しかった。
このクラスの副担であっとことを誇りに思います……。』
敬語とタメが交じる俺の言葉。
あーヤバイ…。
泣きそうだ……。
『ここでお前らと出会って過ごした時間を俺は一生忘れないと思う。
教師という職業の中でお前らと笑い合っている時間は本当に楽しかった…。
お前らを見てると自分の高校時代を思い出してすごく懐かしい気持ちになった。
いつか大人になったとき、ここでの青春時代を思い出して。
きっと笑顔になれるから。
きっとそれを糧に頑張れるから。』
いつのまにか俺の目からも涙が溢れていた。
泣かない、って決めたのにな…。
『それでは俺の一番好きな言葉を…』
俺は少しためる。
きっと零なら分かるはずだ。
俺の好きな言葉、
『大丈夫。』