たったひとつの愛と笑顔
「イジメはだめだよ。」


っていったら、めんどくさい女って思われそう。


その思いから、やめておいた。

でも、いいのだろうか・・・。

明日香がもし、いじめられていたら・・。

そう思うとほっとけなくなる。

「みんな聞いて聞いて!!ユキアが今日、学校にきたんだって!さっき、保健室にいた。」

これは、大ニュースだった。

明日香は別に行きたいというわけでもなかったのだが、朝出し忘れた健康観察カードを出しにいくために保健室に向かった。

すると、保健室には健二を含め、多くの男子たちがいた。

「ど・・どしたの??」

保健室に入った瞬間、その場が凍りついた。

「別に・・・。」

いつもとは全く違う様子の健二が、明日香を冷たく振り払い、乱暴にドアをあけると複数の男子がついていった。

その場はまた静まり返り、保健室の中は明日香と「ユキア」だけになった。

「ねぇ??みんなどうしちゃったの??いつもと様子が違うように見えたけど・・・。」

すると、ユキアは

「別に。ってか、あんたってさ・・・。玉木様と付き合ってんの?」

玉木様??

なんかひっかかる。

「玉木様って言わされてるの???」

「別にそんなんじゃねぇよ。」

こんなえらそうな「ユキア」が自分の意思で言ってるはずない。

「絶対健二に言わされてるでしょ??」

「それはいいから、付き合ってんのか?」

そういう質問は・・難しい。

テストの方が答えがあって簡単だ。

「私は付き合ってないと思ってる。」

付き合ってるっていうより、この方がうわさにもならなくて楽だろう。

「向こうは付き合ってるって言ってたぞ。だから、手ェ出すな、って言われた。」

今までの健二とぜんぜん違った。

明日香が知ってた健二はこんなんじゃなかった。

なんで変わっちゃったの???

いや、何で教えてくれなかったの?

「そうなんだ。」

それしか今は言えなかった。
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