スキミー・ストイック【短編】
ガタンと音を立ててわたしは立ち上がり、会長の元に震える足で向かった。
「あ、の、会長っ!」
「なんだ」
「聞きたいことがあるんですけど…」
「ひとつだけな」
「え!あ、はい!」
聞いておいてなんだけど、まさかOKが出るなんて思ってもみなかったから声が裏返ってしまった。
会長は相変わらず鋭い視線をわたしに向けてくる。
その気迫に物怖じしそうになりながら、わたしはおもむろに口を開いた。
「…なんで……他の役員たちは、来ないんですか…」
わたし至上もっとも暗い声が出たんじゃないかってくらい暗く沈んだ声だった。