スキミー・ストイック【短編】

 マグカップに口をつけながら恐る恐る目線の高さを上げると、やっぱり思ったとおり会長がこちらをじーっと見つめていた。

 さっきからひしひしと感じるこの痛痒い視線は会長から発せられたものだ、ってここにはわたしたち2人しかいないんだから当たり前なんだけど。


 あんまりにもまじまじと見つめてくるためどうにも居た堪れなくなり、マグカップを置いて小さく抗議の声を上げてみた。


「………なんですか、会長」

「書記の真似」

「…こんなにじっくり見てませんよ、わたし」

「いーや見てたな。自覚ないのか書記」

「自覚も何も…さっきはコーヒー沸くの待ってて暇だったから観察してただけです。てかいつも言ってますけど、書記って呼ぶのやめて下さい」

「暇潰しに俺を使うなんて書記も偉くなったもんだなぁ。なに言ってんだ、書記は書記だろ」


 偉そうにふんぞり返りながら会長は僅かに口角を上げた。
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