気ままに生きる
 そう言えば、あの頃のライブはPA(Public Address…ギターなどの音をアンプから拾い、客席やステージ内のミュージシャンにバランスの良い大きな音にして出力すること)がなくてすごいやりやすかったね。昔ボーカルは自分で100Wとか200Wのボーカルアンプとマイクを持ち歩いてたんだよ。それでボーカルアンプにエコーチェンバーをつなぐと、バンドの音が広がって、やりやすかった。PAが入る前はどんなに広いところでやっても気にならなかったけど、PAが入ってきてから逆にすごい混乱したね。ステージの外の音と中の音が違う。外は良かったのかもしれないけど、中がやりにくい時はいったいどうなっちゃっているんだろうって思いながらベースを弾いていたよ。反対にステージの中にいて今日はやりやすかったなと思うと、外は良くなかったっていうこともあったし。

 それでちゃんとしたPAがつくまではJLCでも5年くらいかかった。PAの人たちがそのバンドを好きで、そのバンドの音を一緒につくっていこうとなって初めてわっと盛り上がる。これまでは、対バンの時にそれまで出ていたバンドがフュージョンだったりすると、ステージに出てガーンって一発音を出した瞬間に「あ、もうダメだ、ガーン((+_+))」ってなっちゃってた。それがJLC専門のPAが入って始めてちゃんと出来るようになった。それでも場所によってはうまくいかないこともあったくらい。

 ある時、ジェネシスのライブをCharと一緒に観に行ったんだ。そうしたらPAの真後ろだった。それでそこにいるスタッフの人たちを見ていたら休みなく動いていて、ギターソロがあったりするとピアノを弾いているみたいにやっているんだ。あ、すっげえなあと思ったね。やっぱり音もすごいし。完全に楽曲を理解していてどこをどうするか分かってやっているんだ。そこが違う。
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