気ままに生きる
 サンフランシスコでは不二家で演奏をしたことあるよ。一緒にやったのはバークレーで知り合った日本人。そのうちのひとりはタツオさんって楽器屋の人で、今も日本にいろんな楽器を入れている。その人は鎌倉の人で、その頃テレビとかラジオなんかをレンタルする仕事をしていた。それで自分もレンタルするのに宣伝を見て呼んだら「加部君じゃないの」とか言われたのがきっかけ。

 今も楽器フェアの時は必ずいるし、JLC、ピンククラウドの時もスペクター(1974年創業のアメリカのベースメーカー、コンパクトなボディにアクティブ・ピックアップを装備していた)とかCharが持っている紫(バーガンディ・ミスト)のストラトとか向こうの外人さんも持ってないようなのがあったんだ。それでCharは紫のストラトを買ったんだよね。その時タツオさんはピンクのストラトと2本持ってきたんだ。Charは後から2本とも買っておけば良かったなあって言ったくらい、いい楽器だったよ。

 俺はその人からスペクターとかファクターとかベースを融通してもらった、お金は払ってないけどね。初期の頃につくられたものだから音はすごくいい。海外に行ってレコーディングした時も、音を作るのにミキサーの人から「はい音出して」って言われて、ボンボンボンって音を出したら、その人はレコーディングスタジオのミキサー室から飛び出してきて「すごい! どこのベース?」って言われたよ。普通はミキサーで音をいじらなきゃいけないんだけど、「何もする必要ない、OK!」って。「どこのベース?」ってきくくらい向こうの人も知らなかったみたい。

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