執着王子と聖なる姫

 新たなるfamily

俺は確かに妹に依存している。

けれど、恋愛感情を抱いたことはただの一度も無い。それだけは断言出来る。

妹は俺にとって「守るべき対象」であり、決して「恋愛対象」ではない。


そのはずなのに、いったい何なのだろう。この胸の中のモヤモヤとしたものは。相手が違えば一発くらい殴ってやったのに。

そんなことを思いながら見据えた相手は、普段クールを決め込んでいるはずの顔をくしゃくしゃと緩ませ、纏わり付く妹の頭を愛おしそうに撫でている。


「俺の妹だよ、それ」


ため息と共に洩れた言葉は、そんな言葉だった。

話があるとやけに真剣な声で言われ、色んなことを想像しながら到着を待った。ゴクリと唾を呑んで扉を開けたそこに居たのは、申し訳なさそうに眉尻を下げた龍二と、セナの服に身を包んだ妹だった。

その瞬間俺の思考が一時停止したのは言わずもがな。
セナに引っ張られてリビングへ戻っても、なかなか理解し難い状況に頭を悩ませた。
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