執着王子と聖なる姫
「ごめん、愛斗」
「いや、別に謝るこたねーけどね」
訊けば、龍二が妹の家庭教師をし始めたことが切欠らしい。
「俺は他にバイト探すって言ったんだけど、とーちゃんがそれならレイの家庭教師しろって言うもんだから…さ」
「龍ちゃんは元々セナと一緒にお勉強してたんです。会話は出来ませんが、お勉強は優秀です」
「一言余計だからな、お前」
龍二の言う「とーちゃん」とはハルさんのこと。どうやら龍二の父親と仲が良かったらしいハルさんが、一人になった龍二の面倒をみているらしい。
因みに、ちーちゃんは「ちーちゃん」だ。どうしても「かーちゃん」と呼べない気持ちは、俺にもよくわかる。
それにしても、勉強嫌いの妹に家庭教師を付けるとはハルさんもなかなか教育熱心だ。そんなことを思いながら、ぼんやりと妹を見つめていた。
「お前…何か変わったね。相変わらず色々小さいけど」
「色々って何よ!」
「色々?色々だよ、色々」
服装のせいだろうか。違和感があり過ぎてまるで別人みたいだ。
白いワンピースは妹には似合わない。
そう思っていたのは何故だったのだろう。
こんなにもよく似合っているのに。
「愛斗…いいか?」
「え?」
「俺、レイと付き合ってもいいか?」
「いいも何も、そりゃ俺が決めることじゃねーわ」
何でこの年で、「娘を嫁にやる父親」の気分を味わわなければならないのだろう。まだ高校生だし、何より俺はアイツの兄貴のはずなのに。
「マナがちゃんとOKしてくれないとダメなのよ!」
「誰が決めた、んなこと」
「リュージがそう言ったわ」
「いや、ちゃんと言っとこうと思って…さ」
いい奴なのだ。一見怖そうな外見と口下手のせいで勘違いされ易いけれど、龍二は真面目で優しい奴だ。それは、唯一校内で友達をやっている俺が一番よく知っている。
「いいんじゃね?」
「やった!」
「マジで…いいのか?」
「レイがお前を選んだんだからそれでいいよ。お前はレイの中で俺以上ってことだからな。つーか、もう付き合ってんだろ?だったらただの報告じゃねーか」
手放しで喜ぶ妹の頭を撫でながら、「だな」と龍二が苦笑いをする。少し悔しい気もするけれど、相手が龍二ならば文句は無い。
「いや、別に謝るこたねーけどね」
訊けば、龍二が妹の家庭教師をし始めたことが切欠らしい。
「俺は他にバイト探すって言ったんだけど、とーちゃんがそれならレイの家庭教師しろって言うもんだから…さ」
「龍ちゃんは元々セナと一緒にお勉強してたんです。会話は出来ませんが、お勉強は優秀です」
「一言余計だからな、お前」
龍二の言う「とーちゃん」とはハルさんのこと。どうやら龍二の父親と仲が良かったらしいハルさんが、一人になった龍二の面倒をみているらしい。
因みに、ちーちゃんは「ちーちゃん」だ。どうしても「かーちゃん」と呼べない気持ちは、俺にもよくわかる。
それにしても、勉強嫌いの妹に家庭教師を付けるとはハルさんもなかなか教育熱心だ。そんなことを思いながら、ぼんやりと妹を見つめていた。
「お前…何か変わったね。相変わらず色々小さいけど」
「色々って何よ!」
「色々?色々だよ、色々」
服装のせいだろうか。違和感があり過ぎてまるで別人みたいだ。
白いワンピースは妹には似合わない。
そう思っていたのは何故だったのだろう。
こんなにもよく似合っているのに。
「愛斗…いいか?」
「え?」
「俺、レイと付き合ってもいいか?」
「いいも何も、そりゃ俺が決めることじゃねーわ」
何でこの年で、「娘を嫁にやる父親」の気分を味わわなければならないのだろう。まだ高校生だし、何より俺はアイツの兄貴のはずなのに。
「マナがちゃんとOKしてくれないとダメなのよ!」
「誰が決めた、んなこと」
「リュージがそう言ったわ」
「いや、ちゃんと言っとこうと思って…さ」
いい奴なのだ。一見怖そうな外見と口下手のせいで勘違いされ易いけれど、龍二は真面目で優しい奴だ。それは、唯一校内で友達をやっている俺が一番よく知っている。
「いいんじゃね?」
「やった!」
「マジで…いいのか?」
「レイがお前を選んだんだからそれでいいよ。お前はレイの中で俺以上ってことだからな。つーか、もう付き合ってんだろ?だったらただの報告じゃねーか」
手放しで喜ぶ妹の頭を撫でながら、「だな」と龍二が苦笑いをする。少し悔しい気もするけれど、相手が龍二ならば文句は無い。