COLORS~Clear~
でも。


「あっ…!」


気づくのが、少し遅かったらしい。
信号を渡る前に。
霧島クンは、タクシーに乗ってしまって…。


「………………」


私に気づかず、行ってしまった。

沙奈の、郁サンの。
そして、そこには。
稽古してくれてる。
霧島クンの気持ちもある…。


「………………」


私は小さく息を吐くと。


“…ごめんなさい、郁サン。今回は…”


心の中で謝って。
霧島クンのことが気になりながらも、社に戻った。

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