COLORS~Clear~
私は。
そんなことをわざわざ口にするタイプじゃない。
沙奈に郁サンとの食事のことを訊かれた時でさえ。
答えなかった。

なのにあえて。
自分から口にするなんて、霧島クンも戸惑うはず。

それでも。
私はいつも以上に落ち着いた素振りを見せて、お茶を点てる。

気持ちの乱れなんて。
微塵もないかのように…。

あれは錯覚。


“雰囲気に流された、気のせい”


そんなふうに、思わせるように…。


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