COLORS~Clear~
けど。
仮に、郁サンが何かに気づいて、私を問い詰めたとしても。

“何か”があったわけじゃない。
確信できるような“何か”は…。

もちろん、それでいいし。
むしろこのまま。
過ぎてくれればいい…。


「俺的には、もっとお互いのペースで…が、理想だったんだけど。これも、家柄。仕方ないんだろうな…」
「そうね…。結婚は、本人同士もそうだけど。家と家の物でもあるから…。特に、私たちは」


家と家の、親の為の結婚ではあるけれど。
私は郁サンに、何の不満もない。
それどころか、むしろ、幸運だとさえ感じてる。

世間から見れば、いわゆる政略結婚なのかもしれないけど。
私はそんなこと、思ってもいないし。
郁サンも、同じはず…。


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