COLORS~Clear~
私はなにげに、少しドキッとしながらも。
顔色は、


―大丈夫そう


ちょっと遠巻きで確認して。
ホッとする。


「まさかご子息だったなんて」
「甥だと言ってましたよね?」


彼は上司だったけど。
親しみやすかったからだろう。
もうすぐ会議が始まるというのに、みんな郁サンから離れようとはしなくて。


「鷹梨専務。もうすぐお時間では?」


助け船、という程ではないけど。
郁サンに声をかける。


「えっ?あぁ…。ほんとだな」


でも。
郁サンも、どこか名残惜しそうな表情。

この職場が好きだったと。
この間、言っていたのを思い出す。

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