甘い誓いのくちづけを
「結構幸せそうに見えるんだけどね……」


「え?」


ポツリと呟いたさゆりの声が途中からしか聞き取れなくて、彼女を見つめながら小首を傾げた。


だけど…


「ううん、こっちの話。ほら、瑠花ももっと飲みなさいよ!」


さゆりはわざとらしいくらいに明るく言って、まだ少しだけ残っているあたしのグラスを指差した。


「あんまり飲んだら、明日起きられなくなるじゃない」


「平気、平気!」


「無理だよ、あたしはさゆり程強くないから……」


「もう、ほら!ゴチャゴチャ言ってないで、じゃんじゃん飲むよ!」


勧められるがままにカシスオレンジを飲み干し、ファジーネーブルを注文した。


もちろん、さゆりもまたビールを注文していた――…。


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