甘い誓いのくちづけを
総務部の女性社員の中で、さゆりは唯一課長と互角に言い合える。


もちろん、反抗するという訳じゃない。


厳し過ぎる課長に泣いてしまう女性社員も少なくは無いから、見兼ねてフォローを入れたりするのだ。


普段のミーティングの時だって、課長には容易に意見を言ったり出来ない女性社員が多い中で、さゆりだけは臆する事無く自分の意見を述べている。


そんな彼女を見ながら「すごいなぁ」なんて呟くと、頬にひんやりとした物が触れた。


「ほら、これ飲んで」


「は〜い!ありがと〜!」


「お礼はいいから、駅に着いたらちゃんと真っ直ぐ帰ってね?」


「は〜い!」


あたしは満面の笑みで返事をして、ペットボトルのミネラルウォーターを受け取った。


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