甘い誓いのくちづけを
「瑠花ちゃん、いつでも連絡してね」


帰り際、シンプルなカバーに包まれたスマートフォンをヒラヒラと振りながら微笑んだ英二さんに、理人さんがピクリと反応した。


「……ちょっと待て、英二」


眉を寄せた理人さんに、英二さんがニカッと笑って見せる。


「さっきお前が電話してる間に、番号訊いちゃった」


まるで子どもみたいな口調の英二さんが、あたしに意味深な笑みを向けて来た。


「お前……」


「おっと、俺もそろそろ出掛けないとな。じゃあね、瑠花ちゃん」


何かを言い掛けた理人さんを遮った英二さんは、わざとらしい笑みを浮かべながらドアを開けた。


英二さんはそのまま店内に消え、その後すぐに鍵が閉まる音がした。


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