甘い誓いのくちづけを
店の前に取り残されたあたし達の間に漂うのは、気まずさを孕んだ雰囲気。


「あのっ……!」


思い切って口を開いて、腑に落ちないような表情をしている理人さんを見上げる。


「英二さんが……理人さんが電話中は暇だろうからって、話し相手になって下さっていたんです」


食事中、理人さんに仕事絡みの電話が掛かって来たみたいだったから、あたしはすかさず出るように促した。


その時、たまたまデザートを持って来てくれた英二さんが、店の外に出た理人さんが戻って来るまでずっと話し相手になってくれて…


話の成り行きで、連絡先を交換する事になっただけ。


それを必死に説明すると、黙ってあたしを見つめていた理人さんが苦笑を零した。


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