甘い誓いのくちづけを
「嘘……」


思わず立ち止まって、さっきと同じ言葉を漏らした。


無意識に目を大きく見開き、夢なんじゃないかと目の前の状況を疑ってしまう。


それから数秒もしないうちに、視界に入ったままの車の運転席のドアが勢いよく開いて…


「瑠花ちゃん!」


ずっと会いたいと思っていた男性(ヒト)が、目の前に現れた。


「どうして……?」


驚いたままのあたしに掛けられたのは、上品に仕立てられたスーツ。


「風邪引くよ」


その優しい香りに包まれた直後、綺麗なダークグレーの瞳が緩められた。


「理人さん……」


「うん、やっと会えたね」


フワリと微笑んだ理人さんに胸の奥が甘やかな熱を帯び、同時に何故か涙が込み上げてしまいそうになった。


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