甘い誓いのくちづけを
まさか……


それが、正直な気持ち。


もし理人さんの言った事が本当なら、彼はその時からあたしへの想いを抱いていたという風にも取れる。


それは、舞い上がったあたしの自惚れでしか無いのかもしれないし、そうだとしたらとてつもなく恥ずかしい。


何よりも、そんな風に考えてしまう事自体、とてもおこがましい。


だけど…


あたしを見つめる理人さんが優しく笑っていて、まるで自惚れなんかじゃないと言っている気さえしてしまった。


「太陽を見て」


頭の中はまだ整理出来ていなかったけど、促されるまま再びグラスを覗き込む。


「まだ、約束のリングは見付け出せてないけど……」


すると、理人さんの大きな手が、あたしの左手をそっと包み込んだ。


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