甘い誓いのくちづけを
「お待たせ致しました」


理人さんの表情に疑問を抱いて口を開き掛けた時、二人分のカクテルが運ばれて来た。


さっきは誰もいなかった店内には、数人のお客さんの姿。


左手に着けている腕時計を見ると、20時を回った所だった。


文博と待ち合わせの約束をしていたのは、18時だったけど…


彼は1時間以上も遅刻して来たから、こんな時間になってしまっている事にも頷ける。


「もしかして、夕食まだだった?」


「あ、はい……」


「じゃあ、バーよりも先にレストランに行くべきだったかな?」


「いえ……。今は、食事なんてする気分じゃないので……」


視線をほんの僅かに伏せて微苦笑を零すと、理人さんが眉を寄せながら小さく笑った。


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