甘い誓いのくちづけを
理人さんの指先が、あたしの体のラインをゆっくりとなぞる。


吐息混じりの甘い声が漏れ、僅かに涙が浮かんだ瞳で彼を見つめた。


「お願いします、ベッドに……」


抵抗出来ない事を悟ったあたしは、せめてものお願いを口にする。


視線を逸らしてしまいたいのを堪えながら理人さんを見つめていると、程なくして彼が眉を寄せて笑った。


「仕方ないね……」


ため息混じりの言葉にホッとした直後、耳元で続きが紡がれた。


「でも、許してあげるのは今日だけだよ?もしまた他の事を考えていたら、今度はこのまま抱くから」


意地悪な理人さんに抗議をする暇も無く抱き上げられ、どこか忙しなくベッドルームに運ばれる。


そして…


体が溶けてしまいそうな程、甘い夜を明かした――…。


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