甘い誓いのくちづけを
「えっと……じゃあ、キッチンをお借りしますね」


「うん」


理人さんに一言断ってから対面式のキッチンに行って、大きな冷蔵庫を開けたけど…


そこには、ミネラルウォーターとワインに合うようなおつまみ、その横にはワインセラーしか無かった。


「ごめん、瑠花……」


絶句していると、カウンターの向こうにいる理人さんが苦笑した。


「よく考えたら、この家には何もないんだ」


「……料理しないんですか?」


「自慢じゃないけど、カップラーメンくらいしか作れなくてね。そういえば、まともにキッチンを使った記憶がないな……」


前半はあたしに、後半は独り言のように呟かれた言葉に唖然とする。


だけど、綺麗過ぎるキッチンを見れば、それも納得出来た。


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