甘い誓いのくちづけを
「朝食なら、あたしが作りましょうか?」


そんな提案をしたのは、あたしもバスローブを羽織ってリビングに行った直後の事だった。


いつも二人で行くレストランのような、オシャレで上品な料理は作れないけど…


普段から自炊をしているから、簡単な朝食くらいなら作る事は出来る。


控えめに訊きながらも、その気持ちはとても安易なものだった。


だけど…


「本当に?」


とても嬉しそうに期待に満ちた表情を浮かべた理人さんを見て、軽々しく提案してしまった事を後悔しそうになる。


「いえ、あの……そんなに大した物は作れませんよ?本当に簡単な物でもいいなら……」


たじろいだあたしに、彼は柔らかく微笑みながら大きく頷いた。


< 359 / 600 >

この作品をシェア

pagetop