甘い誓いのくちづけを
「ちょっと話が飛躍するんだけど……」


今でも充分混乱しているせいで、“飛躍”という言葉についつい身構えてしまった。


だけど…


「理人は、その時に君に出会ったお陰で家を出るのをやめて、会社を継ぐ事を決めたんだ」


続けて紡がれた内容は今までで一番理解出来ないもので、身構えていた体の力を無意識に抜いていた。


「理人は、君に救われたんだよ」


今度は、もっとわかり易く告げられたのに…


「そんな訳……」


あたしからは、どうしても否定の言葉しか出て来ない。


「だって……あたしが理人さんと出会ったのは今年で、それまで理人さんと話した事なんて……」


だって、やっぱりどんなに記憶を手繰り寄せても、そんな記憶は無いから…。


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