甘い誓いのくちづけを
「あたし、理人さんとちゃんと話します」


あたしは昨夜の決意を思い出し、改めて抱き直したそれをゆっくりと口にした。


「うん、それがいいと思うよ」


不安も戸惑いもあるけど、いつまでも理人さんへの想いを燻らせているだけじゃ何も変わらないと思うから…。


「じゃあ、勇気を出した瑠花ちゃんに、もう一つヒントをあげるよ」


今度はどんなヒントが飛び出すのかと思っていると、英二さんが綺麗な瞳をフッと緩めた。


「理事長のところに行ってごらん」


「えっ?」


「きっと、君が知りたがってる事に今よりも少しだけ近付けるよ」


英二さんは意味深な笑みを浮かべながら優しく言った後、キョトンとしているあたしに背中を向けた。


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