甘い誓いのくちづけを

「どうぞ」


「いただきます……」


理事長に差し出されたコーヒーカップに口を付け、どんな風に切り出そうかと考える。


英二さんが理事長の元へ行くように促した事を思えば、理事長は恐らく理人さんの事を何か知っているのだろうと予測は出来る。


だけど…


それにしても、理人さんと理事長の接点が全く見えない。


「随分前に……あなたに、少しだけ酷(ｺｸ)な質問をしたのを覚えているかしら？」


とりあえず話を切り出そうとした直後、理事長が僅かに自嘲を含んだような笑みを見せた。


「あなたがここに来始めた頃で……確か、高校二年生だったかしらね」


そこまで聞いたところで、理事長が何の話をしているのかを理解した――…。