甘い誓いのくちづけを
頭に残った痛みを出来るだけ刺激しないように、ゆっくりと辺りを見回す。


程なくして理解出来たのは、見覚えの無い部屋の中にいるという事だけ…。


ここがどこなのかはもちろん、自分がどうしてここにいるのかもわからなかった。


何度も部屋全体に視線を泳がせているうちに、フカフカのベッドや高級そうなインテリアに不安を覚える。


そんな状況の中、記憶を必死に手繰(タグ)り寄せて最初に思い出したのは、眉目秀麗な男性(ヒト)の優しい笑顔。


それが理人さんだとわかるまでに、大した時間は掛からなくて…


「……っ!」


同時に、昨夜の醜態(シュウタイ)を一気に思い出してしまった。


「泣いた、よね……?」


誰に訊いた訳でも無い言葉が、シーツに溶けるように消えた。


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