甘い誓いのくちづけを
訪れた沈黙の中、理人さんが目を小さく見開いた。


そんな彼に誤解をされてしまわないように、文博があたしに会いに来た経緯を話した上で、さっきの会話の一部始終を説明した。


「文博と会う前から、理人さんに会いに来る事は決めてました。でも……」


そして、自分の気持ちをしっかりと紡いでいく。


「文博と別れた一番の原因はお互いが向き合わなかった事なんだって気付いたからこそ、理人さんとは同じ過ちを繰り返したくない、だから何があってもちゃんと向き合おうって、もっともっと強く思えたんです」


真剣な表情のあたしに、理人さんが優しい笑みを浮かべた。


「彼に会えて良かったと思う?」


「はい……。あんな形で終わるよりも、ずっと良かったと思います……」


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