甘い誓いのくちづけを
前を見つめたままのあたしに、理人さんが優しい笑みを浮かべている。


そう感じるのは、あたしの思い違いでは無いはず。


「私達の出会いが、最高のめぐり逢いでありますように」


優しく、優しく紡がれた言葉。


その言葉すらも自分(アタシ)に向けられたものだと理解した直後、今すぐにでも理人さんの腕の中に飛び込んでしまいたくなった。


「それらの願いを込めて、一つ一つのウェディングプランを大切にプロデュースさせて頂きたいと思っています」


彼から視線を外せずにいるあたしの前に、ワイングラスがスッと差し出された。


その中で揺れる赤い液体が何なのか、考えるまでも無い。


英二さんからワイングラスを受け取ると、彼がフッと穏やかに微笑んだ。


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