甘い誓いのくちづけを
「俺は理人に頼まれただけだし、瑠花ちゃんがそんなに気を遣う必要なんてないよ」


「でも……」


「大体、“あたしのせい”じゃなくて、“あたしの為”って言って欲しいな。それに俺、瑠花ちゃんの為だったらどこにでも行くよ?」


冗談めかして悪戯っぽく笑った英二さんに、あたしも釣られて微笑んでしまう。


「もう……。また、そんな事言って……」


そんな風に言いながらも、彼の優しさがとても嬉しかった。


「あれ、信じてない?心外だな、俺は結構本気なのに。何なら理人なんかやめて、俺と付き合っ……痛っ!」


「木藤君!あなた、またそんな軽率な事ばかり言って!」


不意に英二さんの後ろに間宮さんが現れたかと思うと、彼女が彼の背中をバシッと叩いた。


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