甘い誓いのくちづけを
青空園では挨拶を交わすくらいだった理人さんのお母様は、柔らかく微笑みながら続けた。


「私達ね、あなたの事は以前からとても気に入っていたの。理事長からもすごく優しいお嬢さんだと聞いていたし、青空園で会うあなたの事をいつも温かいお嬢さんだと思っていたから」


緊張と驚きで言葉を失うあたしを、理人さん達は笑顔で見つめている。


「だから、理人からあなたとお付き合いしていると聞いた時は、本当に嬉しかったのよ。とても不器用な子だけど、これからも理人の事をよろしくお願いします」


理人さんのお母様の言葉に皆がクスクスと笑い出し、理人さんだけがバツの悪そうな顔をしていた。


そんな雰囲気の中、自分には勿体ないくらいの言葉を貰ったあたしは、こんなにも嬉しいのに笑顔を見せる余裕が無い。


< 572 / 600 >

この作品をシェア

pagetop