甘い誓いのくちづけを
それから程なくして運ばれて来た料理を前に、あたし達はもう一度乾杯をした。


友達とランチを食べに来た時よりも、何だかずっと美味しく感じる。


いくらディナーの方が高級だからと言っても、こんなにも感じ方が違うものなのかと不思議で堪らなかった。


それでも、理人さんと過ごす時間は本当に楽しくて…


こんな風に食事を楽しめたのはいつ振りだろう、なんて考えた。


最近の文博との食事は堅苦しいばかりで、もうずっと美味しいと感じる余裕は無かったから…。


高級レストランに行った訳では無く、分相応(ブンソウオウ)のお店での食事だったのに、息が詰まりそうなくらい窮屈だった。


あの頃の時間は、もしかしたらあたしと文博の心の中を映し出していたのかもしれない。


< 86 / 600 >

この作品をシェア

pagetop