やせっぽちの愛 ~慟哭!~

(四)北の杜

tomko!

ぎこちない会話が、続きましたね。
と言うよりは、僕が緊張していただけかな? 
君はたくさん話してくれましたね。

「ホントはね、もっとお洒落して来たかったんだけどね。
制服なの、これ。
通称hakujo-kouのね。
でも紐リボンだけは、外してきたの。」

「そ、そうなんだ。」
“ステキだよ、とっても!”

そんなひと言ぐらい、付け加えても良さそうなものなのに。
喉がひりついて、どうしても出なかった。

「出掛けに、クラスメートに冷やかされちゃった。」
「えぇぇっ! なんて、言ってた? 私のこと。」
「美人だ、って。羨ましがられた、ちょっとこずかれたよ。」

「うわぁ! やっぱり、お洒落してくれば良かった。
武士くんが制服だから、私も制服にしたんだけど。」

「十分だよ、それで。
これ以上ステキになられたら、僕、一緒に歩けなくなっちゃう。」

「無理しちゃって! お世辞が、見え見えだぞ。」
って、僕の背中を力いっぱい叩いたこと、覚えてるかい? 
思わず、咳き込んじゃった。

「ごめんね、痛かった?ごめんね、ごめんね。」

何度も謝りながら、僕の背中をさすってくれたね。
嬉しかった、ホントに。

君の温もりが、その手を通じて伝わってきたよ。
それからだね、会話がスムーズになったのは。
僕も、緊張がほぐれました。
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