やせっぽちの愛 ~慟哭!~
それから、色んな話をしたね。
と言っても、大半は君の学園生活が主だったけど。

だって、僕に話をさせてくれなかったじゃないか。
でもいいんだ。僕なんて、話すことは何もないんだから。

でも、ハイネが好きだってこと、嬉しかった。
僕も大好きなんだ。
男のくせに変だろ?

でも君は目を輝かせて
「嬉しい! やっぱり、私の好きな武士くんだ。」

って、僕の胸に。
君のふっくらとした、その、あれが…ドキッ! だった。

でも君は、まるで無頓着だった。
ひょっとして誰にでもそうなのかい? 
だとしたら、少し淋しいや。
 
「あの写真の、ひょっとして、彼氏?」
「なにそれ? あぁ、あの文化祭の写真のこと。
やだぁ! あっ、ひょっとして妬いてるの? 
ふふふ…だったら、嬉しいな。」

「違うの? いかにもって感じだったしさ。
それに、すごく…」

「ストップ! 
彼がね、私に好意を持ってくれてるのは、知ってるけど。
私には もっとステキな彼氏がいるの!」

僕の言葉を遮るように、君は言った。

「だ、誰なの? だよなぁ、そうだよね…」
「もう! 分かんないの。鈍感!」

「えっ、えっ、それって…もしかして…」
突然、君の指が僕の唇に触れてきた。

「ナ・イ・シ・ョ!」
愛くるしく笑いながら、君は言った。

もう僕は天にも昇る気持ちだった。

男を寄せ付けない薄情校だと、後で知りました。
そして、あの写真の男が、実はお兄さんだとも知らされた。

お茶目な君に、見事に騙されちゃった。
その時の僕、どんな顔してた?
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