今さらなのよ!
かすみの記憶はそれから1週間たってもまだもどらなかった。
隆祐は敵から伝えられた言葉を気にしていただけにかすみの記憶がもどらないことが苦しくなっていた。
「かすみちゃんは俺のことを嫌ってはいないのはわかる。
でも・・・愛してくれていたってどうなんだろう。
ぞっこん?すごく好き?とりあえず・・・収入があるから?」
考えれば考える程、動作もぎくしゃくしてしまう。
「あの・・・隆祐さん?体の具合でも悪いんですか?」
「いや、ぜんぜん。このとおりとっても元気だよ。
あ、そろそろ・・・その敬語で話すのをやめてくれないかな。
同棲してることに罪悪感ができてしまうっていうか・・・。
その・・・おやじさんにもさ、悪いっていうか。」
「ごめんなさい。でも、両親って人たちのところには帰さないでください。
いい人なのはわかります。
けど・・・私は、私は・・・えと・・・」
かすみが顔を赤くしながら俯いているのを見て、隆祐はかすみの背後からかすみを抱きしめるとかすみの深層心理へ自分の気を送りこんだ。
(これが俺の気持ちです。かすみは俺のことが好きですか?)
かすみの動きが止まり、両耳に手をあてて困っている様子。