キスなんてさせない(短編)
あたしは、さっき可奈が言ったことを思い出した。

「でも、いい加減素直にならないと後で後悔するよ。
女子なんか健太君狙ってる人多いんだから」

あたしが素直に?

考えただけでも気持ち悪い。

授業が終った。

「陽菜、帰ろ」

健太があたしのクラスに来た。

「別に先に帰ってもいいけど……」

あたしは、また素直に言わなかった。

健太の前では、素直になれない。

素直になるって恥ずかしいし……

本当は、うれしいのに……

「陽菜、どうしたの?」

帰り道、あたしがボーっとしてて健太が突然言って来た。

「別にただ考え事してただけだよ」

「そっか。陽菜って俺の事好き?」

健太が突然そんな事聞いて来た。

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