千尋くん、千尋くん

｢んっ………ぁ｣




いつもより少し乱暴なキスに、頭がクラクラする。



顔が火照って熱い。






怒っているときにする千尋くんのキスは、いつも以上にあたしを乱すものだと知った。








｢あるみ｣




チュッとリップ音をたてて唇を離した千尋くんは、優しくあたしの名前を呼ぶ。










｢意外と俺、嫉妬深いのかも｣





ちょっとだけ照れながらそう言った千尋くんに、クスリと笑ってあたしは答えた。







｢あたしも、千尋くんから離れるのはイヤだよ｣









大好きな笑顔で微笑んだ千尋くんに、あたしは絶対にこの人から離れたくないと思った。






だけど。






……まさか、自分から千尋くんとの別れを選ぶ時が来るとは、思いもしなかった。