千尋くん、千尋くん
あたしなら





────────────────




「き、来ちゃった……」




辺りがすっかり暗くなった夜の8時近く。





マキシ丈のトレーナーワンピースにカーディガンを羽織って、外をうろうろしている怪しい自分。





「こんな夜に普通迷惑だよね……で、でもでもこのままじゃいけない気もするし」




いつの間に心の声が口から出てきて……。




うろうろしながらぶつぶつ何かを呟くあたしは、怪しさと不審さ倍増。





そんなあたしがいるのは、千尋くん家のマンション前。




ほんの数時間前に気まずいまま別れを告げた千尋くんに、はたまた逢いに来てしまったのだ。





< 252 / 397 >

この作品をシェア

pagetop