千尋くん、千尋くん







大好きで大好きで仕方ない千尋くんが、あたし以外の子に好きだよと言ってるのを想像するだけで、息ができないきくらい胸がくるしい。




もう……十分だ。




これ以上、瑞穂くんの話を聞くなんて、あたしには苦しすぎる。






「あるみ……」




「……なんか、元気そうみたいで……良かった」





「……………」




「……それだけ聞けたら十分だから。あたし、そろそろ行くね……っ」





「あのさ、あるみ……」





「じゃあ、またね……!」





瑞穂くんの口から、次はいったいどんなことが出てくるのか。



すでに恐怖したあたしは、もう彼の言葉を聞かないために逃げ出すようにしてその場から立ち去った。

























「仕返しだかんな、バカあるみ。……なんて、ちょっとやり過ぎたかな」










あたしが立ち去った後の階段で、1人クスリと呟いた瑞穂くんのその言葉の意味を知るのは……もうすぐのこと。








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