千尋くん、千尋くん
「2人とも、本当今日はありがとう。これ今日のバイト代、少ないんだけれど」
と言ったおばあちゃんは、茶色い紙封筒を千尋くんに渡した。
もともと、今日1日だけのスケットなので、今日のぶんの給料は千尋くんがもらうことになっていたらしい。
だけど。
「おばあちゃん、これいいよ」
「え、なんでだい」
一度受け取った封筒を、おばあちゃんに返す千尋くん。
なんとなく、あたしも千尋くんの気持ちが分かる気がした。