千尋くん、千尋くん
「ねぇ、バニラ味おいしい?」
「あるみのチョコ、溶けてるよ」
「あゎゎっ……!」
ようやくプチバイトが終わって、銭湯から出たあたしと千尋くん。
お互いの右手には、それぞれチョコとバニラのアイスバーが握られている。
お金はいらないと言ったものの、やっぱり何かお礼がしたいと言った銭湯のおばあちゃん。
じゃあ、バイト代より全然安いんだけど、これもらっていきな。
と言ってくれたのがこのアイスだった。