千尋くん、千尋くん







あたしが口をつけているほうと反対側の場所を、シャリッとかじる千尋くん。





その距離はキスするときくらいに近くて、顔が一気に赤くなる。





ほんの一瞬の出来事で、千尋くんはすぐに顔を離すと、ペロリと自分の唇を舐めた。





その動作が、なぜか凄まじくエロく見える。






「チョコもおいしいね」




「………ぅ、うん」




「言っとくけど、オレは倍返し主義だから」




「え? んっ……」





意地悪そうにそう言った千尋くんは、あたしのアイスで少し冷えた唇に、自分の体温を重ねるのだった。







アイスを食べるのに、こんなにドキドキしたの初めてだ。






チョコより甘い、千尋くんのキス。







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