千尋くん、千尋くん
「だけど、代わりに誰が出るかで揉めちゃって……」
「そうなんだ、体育大会でケガなんて超ベタじゃん。その一之瀬って奴かなりはりきってたみたいだね」
「うん、一之瀬くんほとんどの種目出てたから……」
「うわぁ、運動バカじゃん」
キャハハとヒメちゃんは笑ってるけど……あれ、これって笑っていいのかな。
「みんなし、ず、か、にっ!」
さらにヒートアップする話し合いに、3組の担任(女)が声を大きくした。
一瞬、シーンとなるその場。
「リレーのアンカー、一之瀬くんは出れないけど。代わりに出てもらう人を一之瀬くんに指名してもらったから!」
そう言ってゴホンと1回咳払いをして、腕をあげた先生。
その先生が指差したのは……。
「宇治橋くん、君に出てもらいます」
「………」
人だかりの隅のイスに座っている千尋くんだった。