私と彼の恋愛事情
昼休み。

お弁当を広げ、私とゆなと麻衣の三人で机を囲った。

倉木 麻衣は私の友達の一人で、いつもお弁当はこの三人で食べる。

噂が好きな小柄な女の子だ。

「そういえば昨日のテレビ見た~?」

麻衣が楽しそうに話題を振る。

テレビかぁー。

昨日はずっと勉強してたからなー。

「見てな…」

「華那ちゃーん!呼んでるよー!」

見てないと言おうとした私をクラスの子の声が遮った。

「え、ちょっと華那あれ神崎君じゃない!」

ゆなが指を差した方を見ると神崎君が手を振っている。

あれ、私に振ってんのか?

「おい、黒木ちょっと話があるんだけど今いい?」

「ほら行ってきなよ!」

ゆなに肩を押され神崎君のもとへ向かう私の後ろ姿をクラスのみんなが見つめている。

「……教室離れようか」

「そうだな」

みんなの視線に耐えきれずに二人で教室から出た。

神崎君は特に気にしてない様子だったけど。

「今日のことなんだけど夕飯どうする?俺、買い物行ってきてってお金渡されたけど」

そう言って手の中にある一万円札を広げた。

二人で一万円もいらないよね。

なんてことはどうでもいい。

とりあえずは夕飯とゆなのことだ。

「そのことなんだけどね、今日ゆなが泊まりに来るの。だから夕飯は二人で作るよ」

「片瀬泊まりにくんの?」

「うん。神崎君に勉強を教えてもらいに。ほら明日テストじゃない」

さすがに神崎君と二人きりという環境から逃れるためとは言えず、半分本当で半分嘘をついた。

「ふーん。まぁいいけど?」

神崎君も快く(?)引き受けてくれたところで私達は自分の教室に戻った。





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