レンタル彼氏 Ⅰ【完結】
駅前繁華街にあるアークホテルは、俺の知ってる中で一番高いし、綺麗だった。


そこらのラブホなんかにはりさを連れて行きたくなかったから。


受付を済ませて、キーを受け取り俺はりさの手を自分から繋ぐ。
りさは少しびっくりした顔をして、それから頬を染めていた。


「俺ら恋人じゃん…?」


「………そうね」


りさは嬉しそうに目を細めた。



りさはきっと、俺を好きで好きでしょうがないんだと思う。
俺はそれをわかっていた。

知りながら、知らないふりして恋人を演じていたんだ。


部屋に入ると、りさをソファーに座らせて俺も隣に座る。


「……伊織」


「りさ、好きだよ」


「……私も、好きよ」


俺はそのまま、優しくりさに口づけをする。



りさはきゅっと口を閉じて、それに対応する。
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