レンタル彼氏 Ⅰ【完結】
好き。

好きだよ。



何回囁きあったかわからない。


俺は好きでもないのに、何度も何度も何度も呟いた。



初めてのりさとの情事は、俺の中でのりさを艶やかにさせた。


「りさ、めっちゃ反応いいのな」


「……!」


ぼっと顔を赤くするりさを見て、俺は微笑む。
きっと。

こんなやり取りが普通の恋人同士なんだろうな。



腕枕をしてあげてると、りさが俺の胸に蹲りながら見上げる。


「伊織?」


「ん?」


「………ありがとう」


「え?」


意味、わかんない。


何にありがとう?


「…私、ずっと寂しかったの。旦那は仕事人間だから、家にはいないし、子供もいないから、あの家で私の居場所なんかなかった。
初めて伊織を見た時に、私この人だって思ったのよ」


「……」


「恋愛感情持っちゃいけないのわかってる、だけど伊織が好きなの」


「……」


「大丈夫、プライベートを欲しがったりしないし、契約期間だけでいいの。
その時だけ。
その時だけは私を考えて」
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