レンタル彼氏 Ⅰ【完結】
「………なあ、俺言ったよな…。
泉が幸せじゃないならイヤだって」



胸が、痛い。
痛くて苦しい。

こんなに泉を好き過ぎる自分が憎い。

「もう、忘れた?」


眉を下げて、痛む胸を我慢しながら俺は泉に呟いた。

それから和に話を振る。
泉を好きじゃん、の問いに、きょとんとした顔で和は頷く。
それに泉が驚いた声をだす。


やっぱ。
こいつ、鈍すぎ。

それにふっと笑うと、今度は和が泉に語りかけた。

その言葉に出した結論は。


「会わない」


だった。


そんな苦しい選択をしたのにも関わらず。
泉は晴れやかな顔で、俺と和に感謝の気持ちを伝えた。


どこまでも、真っ直ぐな泉。
そんな、泉を好きで好きで堪らないと再確認する。

笑顔を零す、泉に呟く。


「…忘れる為に、俺と付き合っても、いいんだからな」


だけど、泉ははっきりと言った。

「私は、もう伊織以外付き合いたくないんだ。
伊織を悲しませたくない」

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