【完結】ヒミツの極秘結婚【社長×秘書】


「ああ、そうだ。もう前の話だが以前にその事実があったことを公にすれば、きっとお前も契約をやめると思ってな。普通に考えたら、そんな問題があった会社となんて誰も契約なんてしないし」

「……つまりお前は、たったそれだけのために俺まで巻き込んだってのか」

「ああ、そうさ。俺はお前とどうしても契約がしたかったからな。だから今頃になって横領やら不渡りやらの問題を出して、アイツらを混乱させようとしたんだ」

「……だが俺は、あの会社との契約をやめる気はない」

「わかってる。……だがあの会社はもう、立て直すのはムリだ。信用をなくしたんだ、今回の件でな」

「だから言ったろ。それは俺がなんとかするって」

「どうするつもりだ??」

「記事にされる前に全部ウソだったって公表するんだ。そうすれば、向こうだって多少は楽になるハズだ」

「ムリだ。あの会社はもうおしまいだ。俺が潰したも同然なんだ」

「ああ、そうだな。……だが俺はそれでもやる。だって俺は、社長として会社の未来を背負ってる男だからな」

「……ああ、そうだったな」

「だからなんとしても、必ず成功させてみせるさ。ーーー"必ず"な??」

「……フッ。頼りになるな、お前は」

「当たり前だ」

俺はそう言うと、そのままグラスの中のお酒を飲み干した。
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