組対のデカ
「現時点で証拠らしい証拠はありませんが、検察庁に監察官が来たということを聞いて知りました。監察官は普段の国家公務員の行動を窺うのが主な任務です。つまり対象は警視庁だけでなく、検察庁にも向いてくるわけです」


「君の荒唐無稽な議論には付き合ってられないな。どうやって事件を操るのか、こっちが聞きたいぐらいだよ」


「ケータイ電話かスマホはお持ちでしょうか?」


「ああ、持ってるよ。……ただ、通話記録などを見せることは出来ない。検体にはならないということだ」


「いずれあなたが誰と話をしたのか、聞くことになると思います」


「君も随分乱暴だね。そこまで私を悪者にしたいのか?」


「いえ、そういうことではありません。ただ、あなたが今回の長谷川元警部補の転落死と、それを機会に派生した全ての事件に関わっておられる可能性が高いからです。またお伺いすることがあるかもしれませんが、そのときはお気を悪くしないでください。では」


 速水がそう言って軽く一礼し、病室を出る。


 また捜査に戻るようだ。


 北山院率いる特別捜査部隊は、速水や越沼たち一課でも殺人犯捜査七係とは別行動を取
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